専門新聞倫理網領
民主社会を動かす原動力は言論の自由である。言論の自由があってはじめて民衆の意思がありのままに表現され、その上に健全な民主政治が発展し、文化産業経済の向上発展が見られる。ここに新聞の言論の自由を絶対に維持しなければならぬ理由がある。この自由を維持するためには新聞は高い倫理水準を維持することを必要とする。
日本専門新聞協会定款第4条に『新聞通信のもつ社会的公益性に基づきその倫理水準の向上をはかり、もって文化の振興に寄与し、あわせて専門紙の健全な発展をはかることを目的とする』と倫理水準の向上を高くかかげている。
協会はここにその目的を達成するため新聞倫理綱領を制定する。
新聞の自由
自由は人類の基本的な権利であると同様に言論の自由は新聞のもつ基本的な権利である。新聞はこの言論の自由に対する権利について公共の福祉に反しない限り立法その他の国政の上で最大の尊重を必要とされる。
自由の限界
報道、評論の自由に対し、新聞は公共の安全に対して明らかなさし迫った危険を及ぼすことが予見されるときに限って自衛上真にやむを得ない限度で自主規制する。①報道は迅速に真相を正確忠実に細心の注意をもって大胆に伝えなければならない。②新聞道に反し、故意に真実から離れようとする片寄った評論はなしてならない。あくまでも不偏不党の立場を堅持しなければならない。③報道には絶対に記者個人の意見をさしはさんではならない。④人に関する批評はその人の面前で直接語り得るもので、個人の名誉や信用を傷つけるものであってはならない。
責任
新聞の自由が社会的に保証され保護される以上、新聞は公器としてのなんらかの責任が伴わなければならない。①個人に対する責任=誤解によって個人の名誉や信用を傷つけた場合にはすみやかに取消し訂正しなければならない。②社会公共に対する責任=(イ)積極的に客観的な公正なニュースを提供しなければならない。(ロ)社会的秩序や道徳の紊乱を助長するような記事はのせてはならない。
寛容
みずからの自由を主張すると同時に他人が主張する自由を認めるという民主主義の原理は新聞編集の上にも通ずるもので、みずからの主張に反する他人の主張をとり入れる寛容さがなければならない。
矜持
専門紙こそ産業・経済・教育・文化各層社会の平和的発展に寄与することのできる唯一の公器であるとの矜恃をもって使命の達成をはからなければならない。
気品
すべてに親しまれる新聞はそのもっている高い指導性によるものである。高い気品のない新聞はその指導性に欠け、すべてから顧みられなくなる。この高い気品こそはこの綱領を実践する以外には求め得られない。この綱領の実践から離れることはその新聞が社会からの支持を失い、みずからの存立を危うくする。
加盟社は道義的結合を固くし、互いに取材の自由を保護し合い、倫理水準の向上保持に努めねばならない。この綱領を守る新聞の結合があってこそ言論の自由は保たれ、日本の民主化を促進し、各専門分野の繁栄に寄与するとともに専門紙みずからの発展が期し得られるのである。